事業承継税制とは?特例措置の条件・期限・手続きを完全解説
事業承継税制の概要
事業承継税制とは、非上場会社の株式を後継者が贈与・相続により取得した場合に、贈与税・相続税の納税を猶予(実質的に免除)できる制度です。中小企業の事業承継を税制面で支援するもので、2018年に大幅に拡充された「特例措置」が注目されています。
- 一般措置: 議決権株式の2/3まで、贈与税は100%猶予、相続税は80%猶予
- 特例措置: 全株式が対象、贈与税・相続税ともに100%猶予(実質免除)
- 特例措置の適用には「特例承継計画」の事前提出が必要
- 特例承継計画の提出期限: 2026年3月31日(延長の可能性あり、要確認)
特例措置の適用要件
特例措置を受けるには、会社・先代経営者・後継者それぞれに要件があります。会社は中小企業であること、先代経営者は代表者であったこと、後継者は代表者に就任していることなどが条件です。
- 会社要件: 中小企業基本法の中小企業であること。資産管理会社は対象外
- 先代経営者: 会社の代表者であった(相続時)or である(贈与時)こと
- 後継者: 会社の代表者であること。贈与の場合は18歳以上かつ役員就任3年以上
- 雇用確保要件: 5年間平均で承継時の80%以上(ただし下回っても理由書提出で猶予継続)
手続きの流れ
特例措置を受けるための手続きは、(1)特例承継計画の策定・提出、(2)株式の贈与or相続、(3)税務申告での猶予申請、(4)事後の報告義務の4ステップです。
- STEP1: 特例承継計画を策定し、都道府県知事に提出(提出期限: 2026年3月31日)
- STEP2: 株式の贈与(2027年12月31日まで)or 相続の発生
- STEP3: 贈与税or相続税の申告時に猶予の申請
- STEP4: 猶予期間中の年次報告(5年間は毎年、その後3年ごと)
取消リスクと注意点
猶予された税金は一定の事由が発生すると取り消され、全額(利子税を含む)を納付する必要があります。代表者の退任、事業の廃止、株式の譲渡などが取消事由です。ただし、経営環境の変化による雇用維持困難な場合は、理由書の提出で猶予を継続できるなど、近年の改正で柔軟化されています。
- 代表者からの退任 → 猶予取消
- 事業を廃止した場合 → 猶予取消
- 猶予対象株式を譲渡した場合 → 猶予取消
- 雇用が80%を下回った場合 → 理由書提出で継続可能(2019年改正)
- 後継者が死亡した場合 → 猶予税額は免除
よくある質問
Q. 特例承継計画の提出期限を過ぎた場合は?
A. 特例措置は使えませんが、一般措置は引き続き利用可能です。一般措置は議決権株式の2/3まで、相続税は80%猶予とやや制限がありますが、それでも大きな税制メリットがあります。
Q. M&A(第三者への売却)でも事業承継税制は使えますか?
A. いいえ、事業承継税制は親族内承継・従業員承継が対象です。M&Aで第三者に株式を売却する場合は猶予が取り消されます。ただし、M&Aでの売却益がある場合は別途の税務メリットがあります。