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居抜き売却のメリット・手順

原状回復費用を節約し、さらに売却収入も得られる居抜き売却。流れ・相場・仲介会社の選び方を、成功事例・失敗事例を交えて解説します。

この記事のポイント
  • 居抜き売却なら原状回復費(数十〜数百万円)が不要+売却収入も得られる
  • 飲食店の造作売却相場は坪単価5〜20万円(30坪なら150〜600万円)
  • オーナーの承諾が必須。早期に相談することが成功の鍵
  • 仲介手数料は造作譲渡代金の10〜20%が一般的(成功報酬型が主流)

居抜き売却とは

居抜き売却とは、店舗の内装・設備・什器をそのままの状態で次の借主(または買主)に引き渡す方法です。通常、テナントを退去する際はスケルトン(躯体のみの状態)に戻す「原状回復」が求められますが、居抜きの場合はこの工事が不要になります。

居抜きで引き渡される内装・設備のことを「造作(ぞうさく)」と呼び、この造作を売買する契約を「造作譲渡契約」と呼びます。造作の所有権は現テナント(売主)にあるため、売主が価格を設定して売却することが可能です。ただし、テナント契約によっては造作の譲渡にオーナーの承諾が必要な場合がほとんどです。

近年は居抜き物件の市場が拡大しており、専門の仲介サイトでは常時数千件の物件が掲載されています。出店を検討する事業者にとって、内装工事費を大幅に削減できる居抜き物件は非常に魅力的なため、適切な条件であれば短期間で買い手が見つかるケースも多いです。

居抜き売却の成功事例

実際に居抜き売却に成功した事例を紹介します(個人情報保護のため、詳細は一部変更しています)。

事例1:飲食店(居酒屋)30坪 / 東京都新宿区

売却額 350万円 / 売却期間 3週間

駅徒歩2分の好立地。厨房設備(業務用冷蔵庫2台・ガスコンロ・フライヤー・製氷機)と内装(カウンター席・テーブル席・照明)をそのまま譲渡。

造作譲渡収入+350万円
仲介手数料(15%)-52.5万円
節約できた原状回復費+210万円相当
経済的メリット合計約507万円

成功のポイント:閉店の2ヶ月前に仲介会社に相談。設備のメンテナンス記録を提示し、買い手の信頼を得たことで高値で成約。

事例2:美容室 20坪 / 大阪府大阪市

売却額 200万円 / 売却期間 6週間

商業施設内のテナント。シャンプー台4台・セット面6面・パーマ機・デジタルパーマ機など専門設備一式を譲渡。新規出店者が同業の美容室だったため、そのまま使用可能。

造作譲渡収入+200万円
仲介手数料(12%)-24万円
節約できた原状回復費+130万円相当
経済的メリット合計約306万円

成功のポイント:シャンプー台の配管工事は高額(1台あたり20〜30万円)なため、同業種への居抜きは特にメリットが大きい。

居抜き売却のメリット

原状回復費用が不要になる

最大のメリットです。飲食店の場合、原状回復には坪単価5〜15万円、20坪の店舗で100〜300万円程度かかります。居抜きなら、この費用が丸ごと不要になります。特に厨房のダクトやグリストラップの撤去が不要になる点は大きなコスト削減です。

売却収入が得られる

造作(内装・設備)を売却することで収入が得られます。業種や設備の状態にもよりますが、飲食店の場合は坪単価5〜20万円程度が相場です。20坪の飲食店であれば、100〜400万円程度の売却収入を期待できます。

閉店までの期間を短縮できる

原状回復工事には通常2〜4週間かかります。居抜きなら工事期間が不要なため、その分だけ退去までの期間を短縮でき、家賃の負担も減らせます。家賃20万円の店舗なら1ヶ月分で20万円の節約です。

敷金がほぼ全額戻る可能性

通常の退去では原状回復費用が敷金から差し引かれますが、居抜き売却なら原状回復が不要なため、敷金がほぼ全額返還される可能性が高まります。敷金6ヶ月分(家賃20万円なら120万円)が戻るかどうかは大きな差です。

居抜き売却のデメリット・注意点

オーナーの承諾が必要

ほとんどのテナント契約では、造作の譲渡にオーナーの承諾が必要です。オーナーが承諾しない場合は居抜き売却ができず、原状回復が必要になります。早い段階でオーナーに相談し、承諾を得ておきましょう。

買い手が見つからないリスク

立地や業種、設備の状態によっては買い手が見つからない場合があります。売却活動中も賃料は発生し続けるため、「売却期限」を決めて臨むことが重要です。一般的には1〜2ヶ月で見つからなければ、価格を下げるか原状回復に切り替える判断が必要です。

設備の瑕疵担保責任

引き渡し後に設備の故障が発覚した場合、売主が責任を負う可能性があります。造作譲渡契約で瑕疵担保責任の範囲と期間を明確に定めておくことが重要です。一般的には引き渡し後1〜3ヶ月に限定するケースが多いです。

売却価格を上げる5つのコツ

居抜き売却は「設備を置いていくだけ」と思われがちですが、少しの工夫で売却価格を大きく上げることができます。

1

店舗の徹底清掃

第一印象は価格に直結します。厨房の油汚れ、トイレ、客席の隅まで徹底的に清掃しましょう。専門のクリーニング業者に依頼しても5〜10万円程度で、売却価格が20〜50万円上がることもあります。

2

設備のメンテナンス記録を整理

冷蔵庫やエアコンなどの主要設備について、メンテナンス記録や購入時期を整理して提示できるようにしましょう。「いつ購入し、いつ修理したか」が分かると、買い手の安心感が大幅に増します。

3

売上データを整理する

直近1〜3年の月別売上データ、客数データ、客単価を整理しておくと、買い手が事業計画を立てやすくなります。特に同業種での居抜きを狙う場合は、売上データが大きな判断材料になります。

4

複数の仲介会社に査定を依頼する

仲介会社によって査定額が50〜100万円以上異なることも珍しくありません。最低3社以上に査定を依頼しましょう。査定は無料の会社がほとんどです。

5

閉店前の「営業中」に売却活動を始める

閉店後に空き物件として売却するよりも、営業中に売却活動を始めた方が高値で売れる傾向があります。営業中の雰囲気や客入りを見て「この場所なら成功できそう」と感じてもらえるからです。

居抜き売却の流れ

1. オーナーに居抜きの意向を伝える

まずテナントのオーナー(大家・管理会社)に閉店の意向と居抜きでの退去を相談します。オーナーの承諾なしには進められないため、最初に確認する必要があります。オーナーにとっても、次のテナントが決まるまでの空室期間を減らせるメリットがあるため、多くの場合は承諾が得られます。

2. 仲介会社に査定を依頼する

居抜き物件を専門に取り扱う仲介会社に連絡し、造作の査定を依頼します。複数社に査定を依頼して比較するのがおすすめです。査定は無料で行っている会社が多いです。

3. 売却活動・買い手の募集

仲介会社が物件情報をサイトに掲載し、買い手を募集します。内覧希望者の対応も仲介会社が行うのが一般的です。期間は2週間〜2ヶ月程度が目安ですが、立地や条件によって大きく異なります。

4. 造作譲渡契約の締結

買い手が決まったら、造作譲渡契約を締結します。契約には、譲渡する造作の一覧、金額、支払い条件、引き渡し日、瑕疵担保責任の範囲などを明記します。

5. 引き渡しと精算

造作譲渡代金の受け取りと鍵の引き渡しを行います。買い手とオーナーの間で新たな賃貸借契約が締結されたことを確認した上で、引き渡しを完了させます。

居抜き売却の相場

居抜き物件の売却価格は、業種・立地・設備の状態・築年数によって大きく異なります。以下は一般的な坪単価の目安です。

業種坪単価(万円)20坪の場合30坪の場合
飲食店5〜20100〜400万円150〜600万円
美容室・サロン5〜15100〜300万円150〜450万円
小売店3〜1060〜200万円90〜300万円
医療・福祉5〜20100〜400万円150〜600万円
オフィス・IT2〜840〜160万円60〜240万円

※ 人気エリアや駅近物件は相場を上回ることがあります。逆に、郊外や築年数の古い物件は下回る傾向があります。設備の状態(新しいほど高い)や内装のデザイン(汎用性が高いほど有利)も価格に影響します。

主要な居抜き仲介サービスの特徴

居抜き売却を成功させるためには、信頼できる仲介会社を選ぶことが重要です。主要な仲介サービスの特徴を比較します。

大手仲介サイトA(全国展開型)

掲載物件数が多く、買い手の候補も豊富。全国対応で、都市部だけでなく地方の物件も扱っている。手数料は売却額の15〜20%。知名度が高いため集客力がある。

専門仲介サービスB(飲食店特化型)

飲食店に特化しているため、厨房設備の査定精度が高い。飲食店を開業したい買い手のネットワークが充実。手数料は10〜15%と比較的安い。都市部に強い。

地域密着型C

特定エリアに強く、地元の不動産事情に精通。オーナーとの交渉もスムーズに進むことが多い。手数料は交渉次第だが、大手と同程度。エリアによっては買い手候補が限られるのが難点。

仲介会社を選ぶ4つのポイント

  • 居抜き専門であること:一般的な不動産仲介会社ではなく、居抜き物件を専門に扱う会社を選びましょう
  • 成功報酬型であること:成約しなければ費用が発生しない会社が安心です
  • 対応エリアの実績:自分の店舗があるエリアでの成約実績が豊富な会社が理想的です
  • 契約書類のサポート:造作譲渡契約書の作成支援や、オーナーとの交渉を代行してくれると安心です

居抜き売却に向かないケース

居抜き売却は万能ではありません。以下のケースでは、居抜き売却が難しいか、無理に進めるよりも原状回復して退去した方が良い場合もあります。正直にお伝えします。

設備が著しく老朽化している場合

10年以上使用した設備は査定額が大幅に下がります。特に飲食店の厨房設備は使用年数が長いと故障リスクが高く、買い手が敬遠します。設備の残存価値がほぼゼロの場合は、原状回復の方が合理的な場合もあります。

極端に特殊な内装の場合

特定のコンセプトに特化した内装(和風の装飾が施された焼肉店など)は、同じ業態の買い手しかターゲットにならないため、買い手が限定されます。汎用性の低い内装は査定額も低くなります。

立地の需要が低い場合

駅から遠い、人通りが少ない、近隣に競合が多いなど、立地の条件が悪い場合は買い手がつかないことがあります。1ヶ月以上売却活動をして問い合わせがゼロの場合は、早めに方針を切り替えましょう。

オーナーが承諾しない場合

オーナーが「次のテナントは自分で選びたい」「原状回復して返却してほしい」という意向の場合は、居抜き売却は不可能です。早い段階でオーナーに確認することが重要です。

居抜き売却と通常廃業、どちらが得か

多くの場合、居抜き売却の方が経済的に有利です。原状回復費用の節約と売却収入の合計が、通常の廃業と比べて数十万〜数百万円の差になることも珍しくありません。

比較項目通常廃業居抜き売却
原状回復費用100〜450万円0円
売却収入0円100〜600万円
退去までの期間1〜2ヶ月2週間〜2ヶ月
敷金の返還一部〜全額差し引きほぼ全額返還
リスクなし(確実に退去)買い手が見つからない可能性

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