M&Aの流れ6ステップ【初めての方向け完全ガイド】
STEP1: 準備・意思決定(1〜2ヶ月)
M&Aを始める前に、まず経営者自身が「なぜ売るのか」を明確にします。後継者不在、体力の限界、別事業への注力など、理由は様々です。この段階で財務諸表の整理、不要資産の処分、取引先との契約書の確認を行い、事業を「売れる状態」に磨き上げます。
- 売却の目的・条件(最低希望価格、従業員の雇用維持等)を整理
- 直近3期分の決算書・確定申告書を準備
- 不要な資産や個人的な支出を整理
- 取引先・仕入先との契約書を確認
STEP2: M&A仲介会社の選定(2〜4週間)
M&A仲介会社に相談し、アドバイザリー契約を締結します。仲介会社は売り手と買い手の間に入り、マッチングから契約までをサポートします。小規模M&Aに強い仲介会社を選ぶことがポイントです。初回相談・簡易査定は無料の会社がほとんどです。
- 複数の仲介会社に相談(最低2〜3社)
- 小規模M&Aの実績がある会社を選ぶ
- 手数料体系(成功報酬型か、着手金ありか)を確認
- 秘密保持契約(NDA)を締結
STEP3: 企業価値の算定(2〜4週間)
仲介会社が事業の価値を算定します。中小企業では「年買法(年倍法)」が最も一般的で、時価純資産に営業利益の数年分を加算して算出します。この評価額が売却交渉のベースになります。
- 年買法: 時価純資産 + 営業利益 × 年数倍率
- 業種によって倍率は異なる(飲食1〜3年、IT3〜5年、薬局4〜7年)
- 不動産、許認可、顧客基盤は加算評価
- 赤字の場合は純資産のみの評価になることが多い
STEP4: 買い手候補の探索・マッチング(1〜6ヶ月)
仲介会社が、売却条件に合致する買い手候補を探します。最初はノンネームシート(企業名を伏せた概要書)を提示し、関心を示した候補に詳細情報を開示します。マッチングプラットフォーム(バトンズ、トランビ等)も活用されます。
- ノンネームシート(匿名の事業概要)を作成
- 候補者にNDAを締結した上で詳細情報を開示
- 複数の買い手候補と同時進行も可能
- 個人の買い手(脱サラ起業等)が増加傾向
STEP5: 交渉・デューデリジェンス(1〜3ヶ月)
買い手候補が絞られたら、基本合意書を締結し、デューデリジェンス(買収監査)に進みます。買い手側の税理士・弁護士が財務・法務・労務をチェックします。問題がなければ、最終的な売却条件を交渉します。
- 基本合意書(LOI)の締結
- デューデリジェンス: 財務・法務・労務・事業の調査
- 売却価格、支払い条件、引き継ぎ期間の交渉
- 従業員の雇用条件(給与・待遇の維持等)の合意
STEP6: 最終契約・引き渡し(2〜4週間)
最終的な株式譲渡契約書(または事業譲渡契約書)を締結し、クロージング(決済・引き渡し)を行います。クロージング後は一定期間(通常3〜12ヶ月)の引き継ぎ期間を設けるのが一般的です。
- 最終契約書の締結(株式譲渡 or 事業譲渡)
- 代金の決済(一括 or 分割)
- 株式・事業の引き渡し
- 引き継ぎ期間の業務サポート
よくある質問
Q. M&Aの全体の期間はどのくらいですか?
A. 準備開始からクロージングまで、通常6ヶ月〜1年程度です。小規模な案件では3〜6ヶ月で成約するケースもあります。買い手候補の探索期間が最も読みにくい部分です。
Q. M&A中も通常営業を続けられますか?
A. はい、通常通り営業を続けながらM&Aを進めるのが一般的です。むしろ、業績を維持・向上させることが売却価格にも好影響を与えます。従業員や取引先には、契約が固まるまで非公開にするのが通常です。
Q. 売却後も社長として働き続けることは可能ですか?
A. はい、可能です。買い手から引き続き経営を任されるケースや、引き継ぎ期間として一定期間働くケースは多いです。条件は交渉で決まります。