廃業コスト
基礎知識

廃業と倒産の違い|手続き・費用・信用への影響を比較

廃業と倒産は全く異なる手続きです。費用、期間、信用情報への影響を詳しく解説。

この記事のポイント
  • 廃業は経営者の意思で計画的に事業を畳む手続き。倒産は債務超過で事業継続が不可能になった状態
  • 廃業の費用は50〜500万円、倒産(破産)は50〜300万円の弁護士費用が別途必要
  • 信用情報への影響が大きく異なる。廃業は信用情報に傷がつかないが、倒産は最長10年間記録が残る
  • 資金に余裕があるうちに計画的に廃業する方が圧倒的に有利

廃業とは何か

廃業とは、経営者が自らの意思で事業を終了する手続きのことです。法律上は「任意廃業」とも呼ばれ、債務超過ではない状態で事業を畳みます。個人事業主であれば税務署に「個人事業の廃業届出書」を提出し、法人であれば株主総会で解散決議を行い、法務局に解散登記を行います。

中小企業庁の「中小企業白書(2024年版)」によると、2023年に休廃業・解散した企業は約5万9,000件。その多くは「経営者の高齢化」「後継者不在」「収益性の低下」を理由としています。注目すべきは、廃業した企業の約6割が「黒字廃業」であるということです。つまり、赤字で経営が立ち行かなくなる前に、計画的に事業を終える経営者が多数を占めています。

倒産とは何か

倒産とは、企業が債務を弁済できなくなり、事業の継続が不可能になった状態を指します。法律上の正式な用語ではなく、「破産」「民事再生」「会社更生」「特別清算」などの法的手続きの総称です。一般的に「倒産」と言う場合、多くは「破産手続開始の申立て」を指します。

東京商工リサーチの調査によると、2023年の企業倒産件数は約8,700件。負債総額は約2兆4,000億円に上ります。倒産の主な原因は「販売不振」「既往のしわ寄せ(累積赤字)」「連鎖倒産」です。

廃業と倒産の違い一覧表

廃業と倒産の違いを、費用・期間・信用情報・手続きの観点から比較します。

比較項目廃業倒産(破産)
定義経営者の意思で事業を終了債務超過で事業継続不能
費用50〜500万円(業種・規模による)弁護士費用50〜300万円+裁判所予納金20〜50万円
期間1〜6ヶ月6ヶ月〜2年
信用情報影響なし5〜10年間記録
債務全額返済が前提免責により返済義務消滅
経営者の再起すぐに再起業可能制限あり(取締役制限等)
社会的イメージ特に問題なしネガティブな印象

費用の違いを詳しく比較

廃業の費用は、原状回復費用・解約違約金・退職金・法人清算費用などで構成されます。個人事業主で従業員がいない場合は50万円程度で済むこともありますが、飲食店や製造業で従業員がいる場合は300〜500万円かかることもあります。

一方、倒産(破産)の場合は、弁護士費用が最大の出費です。法人破産の場合、弁護士費用は50〜300万円が相場。さらに裁判所への予納金(20〜50万円)が必要です。管財人が選任される場合は管財人報酬も発生します。合計で100〜400万円程度の費用が必要になります。

ここで重要なのは、倒産の場合は「手元にお金がない状態」で費用を捻出しなければならない点です。弁護士費用を分割払いで対応するケースや、法テラスの立替制度を利用するケースもありますが、資金に余裕がある段階で廃業を選択する方が、総コストを抑えられるのは明白です。

信用情報への影響

廃業と倒産の最大の違いは、信用情報への影響です。廃業は債務をすべて返済した上で事業を終了するため、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に事故情報が登録されることはありません。つまり、廃業後に住宅ローンを組んだり、新たにクレジットカードを作ったりすることに何の支障もありません。

一方、倒産(破産)の場合は、信用情報に「事故情報」として5〜10年間記録が残ります。この期間中は、新規の借入れ、クレジットカードの作成、住宅ローンの申込みなどが極めて困難になります。経営者個人が連帯保証人になっている場合は、個人の信用情報にも影響が及びます。

どちらを選ぶべきか

結論として、資金に余裕があるうちに計画的に廃業する方が、あらゆる面で有利です。廃業であれば信用情報に傷がつかず、取引先や従業員への影響も最小限に抑えられ、経営者自身の再起もスムーズです。

「まだ大丈夫」「来月は売上が回復するかもしれない」と先延ばしにした結果、資金が底をつき、倒産に追い込まれるケースは少なくありません。日本政策金融公庫の調査では、廃業した経営者の約3割が「もっと早く決断すべきだった」と回答しています。

ただし、既に債務超過で返済の目処が立たない場合は、早期に弁護士に相談し、破産手続きを進めることが合理的です。債務を放置して状況が悪化するのを防ぐためにも、専門家への早期相談が重要です。

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